甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。


しばらく歩いて、人が見えなくなくなると、それまで張り付けていた笑顔を消した。

こうすると、ようやく自分に戻った気がして、少しだけ居心地がいい。


俺がわざとなんかじゃなくて、自然体で笑うのなんて、ゆあの前だけだ。

多分……いや絶対、ゆあはそのことに気付いてないと思うけど。


自然と頬が緩むのを感じて、小さくため息をつく。

やっぱ俺、ゆあには弱いな。


俺がいつも使っているのは、いくつかある空き教室の中でも、音楽室の横のところだ。

音楽室はどの部活も使わないので、放課後はめったに人が通らない。
休憩するには、もってこいの場所。


ちょうどその音楽室が見えてきたとき、違和感に気付いて。

……電気がついてる?
もしかして、誰かがいるのか。

嘘だろ、いつもはいないのに。


教室のなかを確認しようと、少しだけ歩くペースをあげる。

もう少しだけ近くで見ると、電気がついているだけじゃなく、ドアも少しだけあいていて。


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