甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。
初日だから少しはかわいくしようと思ったのに……!
今更そんな後悔にさいなまれても、起きなかった私が悪いよね……。
分かってはいるんだけど、やっぱり悔しいし悲しい。
さっきよりもスピードを上げて歩く。
みんな早く来たのか、新入生と思われる人は見当たらない。
少しそわそわしながら、なんとか校門にたどり着いた私は、そのまま下駄箱まで猛ダッシュ。
上履きに履き替えて、教室まで急ぐ。
こう見えて、私は方向音痴じゃないから、すぐにたどり着けるはず。
でも、時間が時間だから、急がなきゃ……!
小走りで廊下を駆け抜ける。
……ごめんなさい、校則違反だと思う。
ときどき見つかる教室の案内表示を見ては、また小走りで教室まで向かうのを繰り返していた。
すると、私の教室──1年5組の札が見えて。
あった……!!
なんて少し気持ちが高ぶって、廊下を今度は走りだした私。
教室の札ばかり見ていたから、目の前に迫りくる陰に気が付かなくて。
そのまま、誰かとぶつかってしまった。