甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。
「すごかったな」
「ね!ショーが楽しみ」
その直後、ショーが始まるアナウンスが流れた。
飼育員さんのかけ声とともに、イルカは軽々しく飛んでいく。
フラフープをキャッチしたり、一回転して飛んでみせたり。
気がつけば前かがみになるほど、ショーにのめりこんでいて。
その数十分間は、すごく有意義な時間だった。
「楽しかったー!」
「そんなに濡れなかったな」
「んー、もうちょっと濡れたら体でも楽しめたのにね」
そう、ここがちょっとだけ残念だったところ。
最前列ってかなり濡れると思っていたのだけれど、実際はほとんど濡れなかった。
ベテランのイルカだったのかな。
席を立ちあがるとき、ふと右手にあった熱が消えた気がして、思わず目をやる。
……あ、そうだ、私たち手をつないでて……。
私、それも忘れるくらいショーに集中してたんだ。
なんだ、結局集中できたんじゃん。
残念だったね、千紘くん。