甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。


「すごかったな」

「ね!ショーが楽しみ」


その直後、ショーが始まるアナウンスが流れた。

飼育員さんのかけ声とともに、イルカは軽々しく飛んでいく。
フラフープをキャッチしたり、一回転して飛んでみせたり。

気がつけば前かがみになるほど、ショーにのめりこんでいて。

その数十分間は、すごく有意義な時間だった。


「楽しかったー!」

「そんなに濡れなかったな」

「んー、もうちょっと濡れたら体でも楽しめたのにね」


そう、ここがちょっとだけ残念だったところ。
最前列ってかなり濡れると思っていたのだけれど、実際はほとんど濡れなかった。

ベテランのイルカだったのかな。

席を立ちあがるとき、ふと右手にあった熱が消えた気がして、思わず目をやる。
……あ、そうだ、私たち手をつないでて……。

私、それも忘れるくらいショーに集中してたんだ。

なんだ、結局集中できたんじゃん。
残念だったね、千紘くん。


< 227 / 269 >

この作品をシェア

pagetop