甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。


いや、まさか。まさかね。そんなこと、あるはずがない。


千紘くんは噴水のそばにあったベンチまで歩くと、そこを指さした。


「ちょっとここに座って待ってて」

「待ってる?」

「うん。俺行かなきゃいけないところがあるから」

「行くってどこに……」


私の質問に返すでもなく、すぐに踵を返してどこかに行ってしまった。


……ええ、どこに行っちゃったんだろう。
しかも、ここで何をしてろって言うのよ。

それに、何をしに行ったんだろう……。

千紘くんが帰っちゃったりしないか祈って待つばかりだけど。


……まさか、私じゃない女の子と会ってるとかじゃないよね。
期待させるように、私をこんなところに置いて。

いやっ、別に嫉妬とかじゃないけど。
ちょっと嫌だなって思って、腹が立つくらいで。

……そんなわけないよね。
そしたら、私をここに連れてくる理由がないし……。


ああ、どんどん嫌なことばかり浮かんでくる。


< 232 / 269 >

この作品をシェア

pagetop