甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。


目の前の噴水をぼうっと眺める。

近くに人はほとんどいない。
なんせ、こんな言い伝えもあるからだ。


〝二人がより強い縁で結ばれるには、告白のときとプロポーズのときのみ訪れるのがよい〟


……この言い伝え、結構信憑性は高いらしい。

だから信じる人が多くて、むやみにここに来る人は少ないようだ。


……じゃあ、なんで千紘くんは私をこんなところに?

やっぱり分からない。何がしたいって言うのだろう。


考えをぐるぐる巡らせていたとき、ふと後ろから足音が聞こえた。

振り向こうとしたちょうどそのとき、首にかんじた冷たい感覚。


「……わっ」

「かわいくない声だな」

「なっ……」


それと同時に聞こえた千紘くんの声に、腹が立つでもなく、どことなく安心した。

……よかった、帰ったりしてなかった。
ちゃんと戻ってきてくれた。

反論するような素振りを見せたのは、ただの照れ隠しだ。


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