甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。
「好き……っ」
千紘くんの顔は見えなかった。
次々に溢れる涙を拭うのに精一杯で。
やっぱ情けないな、私。
ありがとうのひとつも言えないで、泣いてばかりで。
私は千紘くんに、何を返せただろう。
入学式の日、ハンカチを拾ってくれた。
羽衣と加納くんの二人の輪に入れず寂しかった私と、たくさん話してくれた。
体育祭で転んだとき、真っ先に駆けつけてくれた。
屋上に一人だった私を、たくさん探してくれた。
階段から突き落とされたとき、すぐに助けてくれた。
こうして、私にネックレスをくれた。
ぱっと思いつくだけでも、こんなにたくさん、たくさんある。
それに対して私は。私は……。
伝えたいことはきっと、〝好き〟の二文字だけだった。
ずっと、ずっと、そうだった。
「……泣くなよ」
「ごめ……」
「ちがう」
少しかすれた千紘くんの声が、すとんと私の胸に落ちる。