甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。


「優しいね、千紘くん」

「今だけかもしれないよ」

「そんなことないでしょ、知ってるもん」


千紘くんはなにか含みを持たせるように笑った。


「そうそう、千紘くん。聞きたいことがあって」

「なに?」

「千紘くん、前に猫かぶってる理由、『初恋の人を忘れないため』って言ってたでしょ」

「うん、言ったね」

「あれってどういう意味?」


千紘くんは、ああ、と言ってうなずいた。

ずっと気になってたんだ。
どうしてそれが、猫をかぶることにつながるんだろうって。


「新しい恋をしないようにするためだよ」

「え?」

「猫をかぶるってことは、イコール、自分を隠すってことでしょ。
つまり、ゆあにしか自分を見せたくなかったってこと」


なるほど……。
そっか、そこにも、ずっと私が絡んでいたんだ。


「ありがとう、千紘くん」

「……なんで?」

「ちょっとだけ、嬉しかったから」


ん、とつぶやいて千紘くんは優しく笑った。


< 251 / 269 >

この作品をシェア

pagetop