甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。


だから、少し……いや、だいぶ離れた位置で、私たちはお弁当を食べる羽目になってしまった。


……いや、予想はしてたけどさ。


「三人でお弁当を食べるときとか、私ほとんど一人だよ。
何も話せない」

「ふは……っ、なんか想像できる」


手の甲で軽く口を隠しながら、瀬良くんは子供っぽく笑う。

その表情に、なぜだか胸がとくん、と音を立てた。


……っ、え。

思わず、自分の胸を両手でおさえる。

な、なにこれ……っ。


そんな私を見て、瀬良くんはこてん、と首をかしげた。


「ん?どうしたの、椎葉さん」

「あ、いや、別に……っ」

「ふーん。ならいいけど」


瀬良くんを前にすると、時々自分が分からなくなる。


……中学の頃とか、男子とあまり関わってこなかったしなあ。

ちゃんと話をしたのは、多分加納くんだけだ。

でも、いつも羽衣と一緒にだったから、一対一で話すことはもう当分していない。


……だから、ちょっと緊張しちゃうのかも……。


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