甘い記憶を溶かしたら
青春の檸檬ソーダ
 分校していた小学校は中学で合併し友達の輪が広がった。そこで出会う莉久は気さくな良い奴で、性別問わず仲良くできる私にとって初めて出来た異性の友達だった。男女の友情は成立するの? そんな疑問こそ持つ前の普通の友達関係、恋愛感情的な甘いものはなく三年間同じクラスで腐れ縁、家に遊びに行くほど距離感が近くなっていた。そこで初めて莉久の兄の存在を知った。

 ――え……すっごいかっこいい。

 見た目がまずどタイプ、私のもろ好みで初見で固まって焦ってしまった。思わず莉久の後ろに隠れてしまうほど直視出来ない、それほどトキメク出会いをした。

 思い返すとあれは一目惚れだ。人を見てキュンとしたのも胸高鳴ったのも、そうなった自分を直視出来なかったのも初めて。好きだ! なんて軽々しく言葉にできないくらい受け止められない衝撃。出会ったその日から何度も何度もこの高鳴る気持ちの名前の付け方に迷っていた。

 三歳上の昴先輩は出会ったときは高校生で私の知ってる男子像とはかけ離れた大人っぽくて落ち着いた男の人で単純にかっこよかった。莉久の友達である私にも優しい対応をしてくれて会うたびに胸が震えていた。
 
 そんな当時かっこよかった昴先輩が今かっこよくないわけが無い。今も輪をかけたようにかっこいいではないか。これは仕事どころではない……と内心焦っている私がいる。

 そこに周りの人たちの出来るオーラと活気、覚えることに精一杯でついていけない仕事に焦りばかりが募るのに、昴先輩の存在がなかなか自分のペースを掴めずにいた。
< 16 / 35 >

この作品をシェア

pagetop