漂う花は、還り咲く
少しだけ深呼吸してから、続ける。
「直樹と魁と、何かあった?」
ぴたり、と空気が止まる。
「……なんで?」
「なんとなく、なんだけど」
言葉を選びながら、ゆっくり話す。
「晴、あの二人といるとき、ちょっと距離とってるっていうか……緊張してる感じがして」
自分でも曖昧だと思う。
でも、それでも。
「向こうも気づいてるのか分かんないけど、たまに寂しそうな顔してる気がして」
言い終わった瞬間——
晴が、立ち止まった。
……やばい。
踏み込みすぎたかもしれない。
「ごめん!ほんと気のせいかもしれないし!なんとなくそう思っただけだから、気にしないで!」
慌てて言葉を重ねる。
勝手な想像で、人のことに踏み込むなんて——
良くなかったかもしれない。
そのとき。
「……しい」
「え?」
聞き取れなくて、顔を上げる。
「俺も、寂しい……」
かすれるみたいな、小さな声。
消えてしまいそうなくらい弱くて。
思わず息が止まる。
こんな晴、初めて見た。
「……晴?」
俯いたまま動かないその手を、そっと掴む。
少しだけ冷たかった。
「こっち、行こ」
軽く引いて、近くの公園へ向かう。
人の少ないベンチに並んで座る。
さっきよりも、少しだけ暗くなった空。
夕焼けの名残が、ゆっくり消えていく。
何か話してくれるかもしれないし、何も話せないかもしれない。
でも、なんとなく、しばらく一緒にいてあげたいと思ったんだ。