さよならの先でまだ君を
再会
みなと話さなくなってからもうすぐ1年が経とうとしていた。
たった1年。
でも、私にとっては息が詰まるほど長く感じられた。

イヤホンからは、あの時みなが教えてくれた曲が流れている。
ホームのざわめきも電車のアナウンスも全部かき消すように、その曲だけが耳に残る。

この1年、私は失恋をし、夢を追いかけて、進路を変えた。

1年生の頃から通っていた知り合いの塾も辞めてからは、勉強ペースも落ちていった。
周りの友達は“できない”を“できる”に変えていくのに、私はその輪の中に入れず、1人でキャパを超えるような量を抱え込んだ。

三者面談の途中、こらえていた涙が勝手にこぼれ落ちた。あの日から私は何らかのストレスでお腹を壊すようになった。
診断結果は「過敏性腸症候群」だった。

それでも、夢をあきらめたくなくて、特待で入学できるようにと、ただ必死に机に向かった。
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