シンユウノススメ
その日からムギはパパが与えてくれる、小学生にしては多額過ぎるお小遣いでメイちゃんに貢いだ。
メイちゃんは戸惑っていたけれど命の恩人なんだから当然だと思う。

放課後に補導の目を盗んで買い食いしたり、文房具やデパートのお洒落なお菓子、
ぬいぐるみ、雑誌に載っているようなキラキラとしたコスメ、ヘアアクセサリー。

「こんなの貰えない」ってメイちゃんはいつも困った顔をするから趣味じゃないのかなって思った。
実際にあげた物を使っているところも見たことが無かったし。

だからムギは物じゃなくて、メイちゃんに「お小遣い」をあげるようになった。
趣味じゃない物を貰うより絶対に嬉しいと思ったから。

メイちゃんはやっぱりすごくすごく困った顔をした。

一時期を境に、そんなことはやめたけれどムギも必死だった。

メイちゃんはムギの神様なの。
ムギが今もこうやって生きていられるのは全部メイちゃんのおかげだから。
メイちゃんに嫌われたら死んでしまう。

他の奴らが嫉妬したムギの武器を全部メイちゃんに与えよう。

お前らが神様になれていたら、これはぜーんぶお前らの物だったのにね?

誰かに貢ぐことでムギの場所が確立される。
ムギのステータスを誰もが羨んでくれる。

そうしていないとムギは自分が一番、自分のことを認めてあげられなくなってしまっていたのかもしれない。
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