シンユウノススメ
赤。なんだろう、これは。

隙間から見えるメイちゃんの背後。
窓の向こうの空は青い。

おかしくない。

おかしくなんてなっていない。

メイちゃんを通して見る空は、世界には色がある。
なのに今、視界の隅っこからじわじわと赤がムギを侵蝕していく。

助けて…。

助けて
助けて
助けて。

「ムギさん?」

階段下からの呼びかけにハッとして肩が震えた。

「メイちゃんっ!」

咄嗟に出した声。

室内からガタッと鳴った木製テーブルの音。

「ムギさん?大丈夫ですか?」

「大丈夫よ。寝起きでちょっとぼーっとしちゃった。メイちゃん?起きてる?お昼ごはん食べよう」

「うんっ…!すぐ行くね」

焦っているような声。
ナオくんは居ないふりをしているのか何も言わなかった。
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