シンユウノススメ
昼食はサンドイッチだった。

新鮮なたっぷりの野菜とベーコン、チーズなんかが挟んである。

ナオくんが齧るたびにシャキッとおいしそうな音を立てるレタスにメイちゃんが「食欲そそるね」って微笑んでいる。

「あら。夜はお肉を沢山食べなきゃいけないから軽食にしたんだけど。お腹は大丈夫かしら」

「大丈夫よ。若いんだから」

なんてお手伝いさん達も楽しそうだった。

ムギには何を食べても味が分からなかった。
消しゴムを食べているような、いや、今本当に消しゴムを食べたって不味いという認識もできないくらい、脳がグルグルモヤモヤして気持ち悪い。

無理矢理飲み込んだサンドイッチ。

吐いてしまいそう。

全て、何もかもナオくんが悪いんだ。

メイちゃんが話していた状況は真実だと思う。

だけどメイちゃんはムギと友達になってくれた。
将来の二人のことも約束してくれた。

メイちゃんだってムギに救われたんだから。

二人を引き裂くナオくんはやっぱり悪魔なんだ。
ナオくんのせいでメイちゃんが変になっちゃったんだ。

許せない。
< 29 / 46 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop