もう一度、君と恋をするために

第二章 まだ、忘れられない

プロジェクトの第2回会議。

全体方針が見えてきたことで、いよいよ具体的な企画内容に踏み込む段階になっていた。

「この案ですが、少し夢がなさすぎる気がします。もっと、こう……視覚的に惹きつけるものがあってもいいのでは?」

悠一が、提案された仮プランに眉を寄せながら言った。

「けれど、それだと予算オーバーになります。それに、限られた中で最大限の価値を出すことも、クライアントファーストだと思います。」

私は、言葉を選びながらも、まっすぐに言い返した。

一瞬、空気が張り詰める。

「それは、本当にクライアントファーストじゃないんじゃないか?」

悠一が、目をそらさずに言った。

「いいえ。クライアントの“夢”を支えるために、“現実”を無視することはできません。」

声が少しだけ強くなる。

周囲の空気が微かにざわめいた。

「予算ばかり気にしていたら、何のためにこのプロジェクトを――」
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