もう一度、君と恋をするために

第四章　すれ違いと告白未満の夜

その週末、会社主催の飲み会が開かれた。

部署をまたいだ懇親会で、人も多くて賑やかだったけれど、私はなぜか、自然と悠一の隣に座っていた。

「とりあえず、ビール？」

悠一は相変わらず仕切り屋で、ドリンクの注文や料理の取り分けを進んでこなす。

でも、そういうところが昔から好きだった。

頼りがいがあって、気遣いがあって、だけど押しつけがましくない。

その空気感が、心地よかった。

次から次へといろんな人が話しかけてきて、笑ったり、相槌を打ったり、気づけばどんどん時間が過ぎていった。

そして、いつの間にか私は、ふとした拍子にうたた寝をしていたらしい。

ざわめきの向こう側で、誰かの笑い声が遠くに聞こえる。

目を開けると、肩に何かがかかっていた。

――悠一の上着だった。

少しだけ、彼の香りがした。
懐かしくて、優しくて、泣きたくなるような温度だった。

見上げると、悠一が隣でグラスを手にしながら、何でもない顔で話していた。
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