もう一度、君と恋をするために

第五章 もう一度、恋をする

「ごめんなさい!」

私は、三浦さんを社外のベンチに呼び出して、頭を下げた。

言わなきゃいけない。ちゃんと、自分の気持ちに決着をつけなきゃ。

「好きな人がいるんです。」

三浦さんは驚いた顔をしたあと、小さく頷いた。

「……そっか。」

「ごめんなさい。もう、これ以上ランチをご一緒することも、たぶん……」

「できない、か。」

その言葉が、胸に突き刺さった。

優しくて、温かくて、まっすぐだった人。

でも私は、彼の気持ちに応えられなかった。

「でも……すごく楽しかったです。三浦さん、お話が面白くて。」

できればあの時間に、少しでも感謝を伝えたかった。

そう言うと三浦さんは、少しだけ照れたように笑った。

「そっか。じゃあ、俺の負け惜しみじゃなくて、勝手に楽しませてもらってたってことでいい?」

「はい……」

最後まで、優しい人だった。

私は深く頭を下げ、心の中でそっとさよならを告げた。
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