もう一度、君と恋をするために
言葉が出ない。涙が、勝手に溢れた。

これが、あの時欲しかった言葉だ。

でも今の私は、あの時よりもずっと……彼の隣に行きたいと、心から思っていた。

「もう、逃げない。真白と結婚したい。」

その言葉に、私の中の時間が止まった。

震える手で悠一を抱きしめる。

「本気なの?」

悠一は、静かに笑って言った。

「本気じゃなかったら、こういう小道具は用意しないでしょ。」

あのベルベットの箱。指輪の輝き。

ああ──これが、ずっと欲しかった未来。

「私も、本気でいいの?」涙が次々に溢れて、止まらなかった。

「もちろん。」

その一言が、全てを溶かしていく。

「また本気の恋を始めよう、二人で。」

優しい声が、私の名前よりも心に届く。

そして悠一は、そっと私の涙を拭い、そのまま顔を寄せてきた。

柔らかく、あたたかいキス。

過去も、後悔も、全部このキスに溶けていく気がした。

――もう、大丈夫。

二人で歩いていける。今度こそ、本物の未来へと。


ー End -
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