深夜一時、突然始まる宝探しゲーム
「坂下さんって優しいですよね」

日野さんの顔は下を向いて鍵を探しているので、よく見えなかった。

「今日のトラブルも坂下さんにほぼ関係ないのに、一緒にトラブル対応してくれましたし」

「いや、日野さんのトラブルがレアすぎて今日が初めてだったので……」

「それでも、他の社員は全員帰っていましたよ」

日野さんは今、どんな顔でこの会話をしているのだろうか。

声色だけでは分からない。

声色だけで相手の感情が分かるほど私たちはまだ親しくない。

「坂下さんは優しいんですよ。口下手な僕に懲りずに話しかけてくれて、僕の言葉をゆっくりと待っていてくれる」

その時、気づいた。

日野さんが先ほどから足を止めていることに。
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