東雲家の御曹司は、わさびちゃんに首ったけ
 

「おい、正気か?」
 
「わさびは正気です」
 
 手を引かれ連れて来られた先は、ホテルの一室だった。
 
 この部屋の鍵をこの女が持っていたという事は、あらかじめ用意されていたことになる。女子高生が一人でここまで綿密に計画するはずがない。
 
「誰に言われた?」
 
 今の俺の声と表情を前にすれば、普通の女性は怖がるだろう。
 
「わさびは誰にも何も言われていません。この部屋は、わさびが今日、お泊りする部屋です」
 
 目の前の女はさも気にならない、とばかりに平然と答える。
 
 そしてシュルッと音がしたかと思えば、それは着物の帯をほどく音だった。
 手際よく一枚一枚着物を脱いでいく彼女を、俺は止める事もせず、ただ呆然と見ていた。
 
「わさびは、成人しています。子供ではありません」
 
 あっという間に肌襦袢と呼ばれる下着一枚の状態になったかと思えば、そのまま恥じらう様子もなく、最後の一枚すら脱いでしまった。
 
 細い。しかし女性特有の二つの膨らみはしっかりとある。なるほど、子供ではない、と言う理由もそれなりにあるわけだ。と思わず感心してしまった。
 
「わさびは東雲 紀糸を、身体をつかって誘惑することにします」
 
 どこで覚えたのかそんな言葉……と言いたくなったが、今時の女子高生ならば別におかしい事でもないか、と思った。
 
 魔が差した、とでも言うべきか。
 女に困っているわけでもなければ、溜まっていたわけでもないが……
 
 俺は目の前に置かれた据え膳を頂くことにした。
 
 
 
 
 
 
 
 思いがけず身体の相性は良かった。
 悪くない、ではなく、良かった、と言える。
 
 一度目の吐精後、破瓜の血が視界に入り、そこでようやく初めてだったとわかったほど、彼女は痛がることも、無駄に喘ぐこともなかった。
 
 俺はなんとも言えない気持ちになり、そのまま行為を続け、結果的に三度、彼女の中に精を放った。
 
 処女相手に少しやりすぎたか、と思いつつも、常備しているアフターピルを口移しで飲ませる。
 
 ベッドに横たわり眠そうにしている彼女をしばらく眺め、この部屋に泊まると言っていた事を思い出す。
 それならば問題ないだろうと思い、俺はシャワーを浴びて何事もなかったようにそのまま部屋を出た。
 
 
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