魔物の森の癒やし姫~役立たずスキル《ふわふわ》でちびっこ令嬢はモテモテです~
目の前の魔物は、リュミのことを認めてくれたみたいな顔をしている。
「リュミのスキル、《ふわふわ》って……そういう、こと……なの?」
返事はない。
けれど、魔物の尻尾はふりふりと揺れていた。そっと毛に触れると、そのぬくもりに、また涙があふれてくる。
だけど──。
「……だめ、なんか、くらくらする」
限界だった。
初めてのスキル発動に力を消耗したせいか、空腹と疲労のせいか、意識がどんどん遠ざかっていく。
「リュミ、もう……」
ばたん。
そのまま、倒れ込んだ。
魔物はリュミを守るように体を寄せると、全身の毛を逆立て、鋭い目で周囲を見回した。
やがて、足音が近づいてくる。
魔物は、うなりながら前脚で地面を踏み鳴らす。
守るべき相手を狙っているものだと、本能が告げていた。