百花繚乱
「ずっと……お二人のお側にいます。」

倫太郎様はやっと、笑顔になりました。

「よかった。」

倫太郎様はほっとしたのか、足を崩されました。

「あなたが、この家を出て行くと聞いた瞬間、僕は……」

倫太郎様は、そっと私を見ました。

「生きた心地がしなかった。」

お二人にそう思われるなんて、私はなんて幸せ者なんだろうと思いました。


それから、20年程経った頃でしょうか。

その間、倫太郎様も紳太郎様もご結婚されて、お子様にも恵まれました。

紳太郎様は結婚して2年後くらいに、お向かいの敷地に家を建て、そちらに移り住みましたけどね。

私はその時、本家の……倫太郎様の家の使用人達を、まとめる立場にありましたから、気軽に移ることなんてできなかったんです。


それは寂しい時もありましたよ。

今までは当たり前のように、紳太郎様のお側にいたのに、会うことすらできなくなったんですから。

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