百花繚乱
しどろもどろになっている私を、あの方は椅子に座らせた。

「転んで、手首を痛めたんだ。」

「手首?ちょっと失礼しますね。」

お医者様はそっと私の腕を取ると、伸ばしたり曲げたり、私は不安になって、ゆっくりとあの方を見てしまった。

「何も心配することはありませんよ。この医者は、僕の父親ですから。」

そう言ってあの方は、にっこり笑ってくれた。


やがてぐるぐると、私の腕に包帯を巻いたお医者様は、私の名前を尋ねてきた。

「瀬戸…若葉です。」

お医者様は驚いた顔で、私を見ている。

「そうか、瀬戸さんのところの…」

「私の家を、ご存じなのですか?」

「ええ。あなたのお祖母様は、この病院であの世に旅立ったんですよ。」

「この病院で……」

「まだあなたが、奥さんのお腹の中にいた時の話ですから。」

私が生まれる前から、うちの事を知っている人がいる。

とても不思議な感覚だった。

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