百花繚乱
「何か?」

「…いえ……すみません………」

自分でもどうして、呼び止めてしまったのか、分からないでいた。

「2、3日してもまだ痛むようでしたら、また来た方がいいですよ、若葉さん。」

「えっ…」

そう言って紳太郎さんは、今度こそ中に入って行ってしまった。


私は返事をすることもできなかったけれど、ただ、自分の胸がドキドキしているのだけは、よく覚えている。


次の日。

家族で朝食をとっていると、私の話になった。


「若葉、学校はどうだ?」

「はい。毎日楽しいです。」

地元では大きな酒屋。

私はそこそこ裕福な家庭で、通っている家の末っ子。


一番上の紅葉(クレハ)姉さんは、隣の町の大きな商人の家に嫁ぎ、二番目の姉の和葉(カズハ)姉さんは、お役人と婚約していた。

両親としては、一人くらい医者にしてもいいだろうと考えたんだろう。

私が医者になりたいと言ったら、すんなりと承諾してくれた。


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