百花繚乱
「それを聞いた途端、奥様は駆け足で、そのご婦人を追いかけて行って、葬式の場に連れて来たそうだよ。」

「へえ~。あの奥さん、気弱そうなのにやるねえ。」

「親戚には、自分の知り合いだと言っていたが、どうもねえ……」

実際に目の前で見た私は、その違和感にモヤモヤしたものだ。


「はあ~、他人事だからこそ話も聞けるけど、自分の事となると発狂しそうだね。」

「それがね。それを見たらふと、ご主人の事が気になりだしてね。」

「何が気になるんだい?」

「私たちの知っているご主人と、関係のある女性から見たご主人は、違うんじゃないかと思えてきたんだ。」

「はあ?」

「それで、その女たちを訪ね歩いて、思い出話でも、聞かせてもらおうと思ってね。」

女将は、口をあんぐり開けて、呆れていた。

< 4 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop