百花繚乱
「若葉…おまえ……」

もう立ち止まってはいられませんでした。

今、行かなければ、紳太郎さんと二度と会うことはできない。

私は父の腕を振り払うと、紳太郎さんの元へ駆け寄りました。

側から大きな馬車が、近づいているのも気づかずに。


「若葉!!」

それは、紳太郎さんの声だったのか。

お父さんの声だったのか……

空を舞った、私には区別がつきませんでした。


気づいた時には、全身に痛みが走っていて、手を動かそうにも力が入りませんでした。

頭がやけに痛くて、首元は何か温かいもので、びっしょり濡れていました。


紳太郎さん。

そう名前を呼びたくても、唇を動かすのがやっと……

少し横を向くと、紳太郎さんが、大粒の涙を流しているのが見えました。


泣かないで。

私の為に、泣かないで。

私が紳太郎さんの姿を見たのは、それが最後でした。

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