百花繚乱
「奥様の実家?」

「ええ、妹が眠っているの。」

そう言って奥様は、お墓に花を添えると、手を合わせた。


「そういえば翁、あそこの社長がお亡くなりになったんですって?」

「ええ、どうしてそれを?」

「随分お世話になりましたのよ。それに何年経っても忘れられないわ。妹の…たった一度の恋のお相手だもの。ねえ、若葉。」

西条の奥様はそう言って、何度も何度も、墓石を撫でておられた。

「これは驚いた。若葉さんは、奥さまの妹御であったのか。」

ふふふっと、奥様は微笑んだ。


「今頃、紳太郎さんとお会いしている頃かしらね。」

そう言って見上げた空は、どこまでどこまでも澄んでいた。

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