百花繚乱
それから2年後の事。

私は奉公も三年目になり、旦那さまにも顔を知って頂くようになって、そのついでに、お子様達とも話すようになっていました。

割と年齢も近いこともあって、話が弾んでは、上の人に怒られる事も度々でした。


そんな18歳の夏、旦那さまに呼ばれ、部屋にお伺いした時のことでした。

「旦那様、深雪(ミユキ)です。」

扉の外で自分の名を名乗ると、「入りなさい。」と、旦那さまの声が聞こえました。

「失礼します。」

私が部屋に入ると、旦那さまのお側には、二人のお子様が、座ってらっしゃいました。


向かって右側、旦那様の横には長男の倫太郎様。

左側には、ご次男の紳太郎様がいらっしゃいました。


「深雪、今日呼んだのは他でもない。おまえに頼みごとがあるんだ。」

「はい。」

「おまえも知っての通り、妻が亡くなってもう2年になる。息子達も大きくなって、身の回りの世話をするものが必要だ。」

「はい。」

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