百花繚乱
「そこでどうだろう。おまえに、息子の世話を頼みたいんだが……」

私は驚いて、返事もできずにいました。

「いいだろう。息子達はおまえに、よく懐いているようだし。」

「はい。」

懐いていると言っても、時々お話をさせて頂くだけ。

とんでもない事になったわ。

そう思いながら顔を上げて、ちらっとお子様たちを見ると、16歳になった倫太郎様と13歳になった紳太郎様が、顔を見合せて、笑っていらっしゃいました。

お二人とも、私がお世話係になったのが、とても嬉しいと言うような、表情をしてらしたんです。


「お前の申し出が通ってよかったな、紳太郎。」

「はい、兄さん。」

何のことか分からずに、目をパチクリさせていると、倫太郎さんが教えてくれました。

「世話係りに、深雪を推薦したのは、紳太郎なんだよ。」

「紳太郎さんが?」

そう言うと、紳太郎さんは無邪気な笑顔を、私に見せて下さったのです。

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