私の心の支えは渚君

過去

〜渚side〜

「これはどういう事なんだ。これじゃ話が違うじゃないか?」
俺を訪ねてきたのは、この前契約をとった石田様だ
石田様は凄い剣幕で桜田を出せと息巻いている
「はい。石田様どのようなご用でしょうか?」
俺はお決まりのマニュアルトークで石田様を出迎えた
「どのようなご用ってあんたが土地の権利書渡せって言うから、安心してあの土地を任せたのに、あの土地はあんたらMK不動産の所有地になってるじゃないか?」
やっぱり来たか
俺はすぐさま戦闘体制に入った
こうなった場合のマニュアルトークも勿論心得ている
「石田様。契約書はよくお読みになりましたか?ここ、第二十条に受け取った権利書は如何なる場合でも返却の義務はなく、土地の権利は渡された不動産会社の物となるとあります。失礼ですが石田様はあの土地の権利書を私に渡して、一度はちゃんと契約した訳ですから、あの土地は我がMK不動産の物となります」
「こんな契約書の細かい事項いちいち読んでられるか。これじゃぼったくりじゃないか?」
石田様はどうしても怒りが収まらないようだ
「分かりました。では土地の権利書はお返しします。でも、権利書を返したところで、一度ご契約された内容が破棄される訳ではありません。ここに石田様の署名と捺印がちゃんとある訳ですから、この契約は無効にはなり得ません」
< 6 / 31 >

この作品をシェア

pagetop