夢の続きを、あなたと

予期せぬ再会

 何で?
 どうしてここに雄馬(ゆうま)いるの……?
 私、梶田(かじた)美月(みつき)美月は目を疑った。
 目の前には、かつての恋人である本庄(ほんじょう)雄馬がいる。
 
 ここは、家具工房『こもれび』のアトリエの軒下で、ようやくアポが取れたこのこもれびに今から企画書をみてもらうところだ。
 家具職人がひとつひとつ手作りで作品を仕上げる工房で、私は取引先の新規開拓のためにここへやって来た。

 午後から雷雨の天気予報は見事に当たり、傘を差していてもスーツの肩が雨に濡れてしまっていた。
 肩から下げている大きなトートバッグには仕事用の書類や私物を入れている。私はその中からタオルを取り出して、濡れた服を拭いていた。大きなガラス張りの扉の向こうにいる彼の姿が目に飛び込んできたのだ。
 
 私が勤務するアルファクラフトは、主に雑貨を取り扱う小売店で、私はバイヤーの仕事をしている。
 以前は安価でだれもが手に取りやすい量産品をメインに取り扱っていたけれど、近年は購入ターゲットを絞って、多少値は張ってもハンドメイドのオンリーワン商品を取り扱うようになった。
 
 昔から手作りの雑貨が大好きだった私は、新規開拓でいくつかの業者をピックアップするうちに、ここを見つけたのだ。
 
 家具を作る際に出る廃材の一部を雑貨としてリメイクして、それをアルファクラフトに卸してもらえないかと何度かメールを送り続けていた。

 一度目のメールの返信を一週間待ったけれど、連絡がないため再度メールを送った。すると、話を聞くことは可能だけど受注生産している家具の納期が迫っていて時間を確保することが難しく、改めてこちらから連絡するとの返信があり、私はひたすら連絡を待った。
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