夢の続きを、あなたと
「梶田さん、お疲れさま。もう帰れそう?」

 私に声を掛けたのは、リーダーの曽我(そが)さんだ。

「はい、入力が終わったので、今日はもう帰ります」

「そう、お疲れさま。早く帰れる日は帰って身体を休めること」

「はい、ありがとうございます。ではお疲れさまでした」

 私が返事をすると曽我さんはうんと頷いて、自分の席に戻り、机の上に置かれた書類に目を通し始めた。
 
 曽我さんは三十六歳で、リーダーの役職についている。
 バイヤー部のメンバーは総勢六名。一番年配の部長は役員の仕事を兼務しているため、実質このチームを纏めるのが曽我さんだ。

 私がここへ異動になったのは、曽我さんの力添えもあった。

 アルファクラフトに入社した当初、私は店舗の販売スタッフとして勤務していた。
 店舗ラウンドに来ていた曾我さんが、店長から私の経歴を聞いたらしく、後日私の意思確認面談をした後、本部に引き抜いてくれたのだ。

 私の職人である、本物を見る目を買われてのことだった。

 曽我さんは社内でも人気がある。
 独身で見た目も恰好いい上に人当たりがいい。それだけに、私が本部に引き抜かれることが決まった時には、同僚たちから羨望と嫉妬、いろんな気持ちが混じった目で見られていた。
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