夢の続きを、あなたと
 どうやら早速本題に入るようだ。
 昔話に花を咲かせるつもりがないようで助かった。
 私は気持ちを切り替えて、口を開いた。

「メールでもお伝えしたようにこちらで製作される家具の廃材を使った、世界でひとつだけ、オンリーワンの雑貨を、うちに卸していただけないかと思いましてご連絡いたしました」

 私の言葉を聞いて、雄馬は深く頷きながらペットボトルの封を切った。
 雄馬の手にしているものは、彼が昔から好んで口にしていたサイダーだ。

 私は応接セットのテーブルの上に、会社から持参した資料を広げ、『こもれび』に送ったメールの内容を改めて雄馬にプレゼンした。
 雄馬は私の話を熱心に聞いてくれる。

 あの頃の、私の創作に対する熱が戻ってきたようだった。
 まるで付き合っていた頃のような錯覚に陥る。
 
 ああ、やっぱり私は職人になりたかったんだと、ここにきて、雄馬の顔を見るとそう思わざるを得ない。
 プレゼンが終わったところで、それまで黙って話を聞いていた雄馬が口を開いた。
 
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