急行列車が過ぎた後で
かのん「そうだそうだ。でさ、今はさー……」

友1「えー、もう佑くんの話はいいよー。私、他の話したーい!」

一人の子が、タイミングよく話題を変えてくれた。
正直ホッとしたけれど、佑の今については、なんとなく知りたい気もした。

友2「じゃあ、みんな彼氏いるの?」

友1「うちはサークルの先輩とー」

かのん「私、実は尚と付き合ってるんだー」

友1「え!もしかして、あのガキ大将的存在だった尚人くん?」

かのん「えへへー。実は中学三年から付き合ってるから、もう5年目になるのー」

友1「すごーい!」

友2「くそー!この間別れたばっかりだよー!リア充めー!」

友1「それは、かわいそうにねぇ。…で、智花は?」

4人の顔が、一斉に私の方へ向いた。
このままこの会話はスルーできると思ったのに、どうやら無理らしい。

智花「わ、私は、その、彼氏いたことない…から…」

友1「え、マジ!?」

智花「う、うん…」

友2「好きな人は?気になる人とかいないの?」

智花「小学生以来、いた覚えがない…」

私たちの席だけ、急に静まり返る。
三きとか言わないよね?」

智花「え…」

いや、そんなはずない、と自分でも思った。
佑とは8年間一度も会っていないし、その姿さえ見ていない。
私の記憶の中の佑は、12歳の時のままなんだから。
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