急行列車が過ぎた後で
友1「いや…さすがに…それは、ないよね」

友2「そ、そうだよね。だって、会ってないんだもんね、八年間」

私「うん、自分でもそれはないと…思うんだけど…」

友1「そ、そうだよね!あー!びっくりした!さ、さ、気を取り直して飲もう!」

かのん「……」

みんな、それぞれお酒を注文タブレットに入力していく。
生ビール、グレープフルーツサワー、ハイボール。
私は……。

智花「……えっと……」

かのんが、静かに言った。
かのん「智花。佑、今、彼女いるよ」

智花「…え?」

かのんが、自分のスマホを差し出す。
かのん「これ、佑のインスタ。彼女とのツーショット」

そこには、8年ぶりに見る、私の記憶とはまるで違う、大人になった佑がいた。
そして、その隣には、見知らぬ女の子が、佑に寄り添って写っている。

その瞬間、何年振りかに感じる、名前もつけられないような、忘れかけていた感情が込み上げてきた。
いつも感情が顔に出てしまう私の気持ちは、あっという間にみんなに気づかれてしまう。

私は、8年経っても、初恋を忘れられないでいた。
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