さっちゃんの足跡

20. 文化祭 その2

 11月も中旬になるといよいよ文化祭です。
学校によっては霜月祭なんて言いますねえ。
 小学部 中学部 高等部のそれぞれの生徒たちが劇や音楽などを披露してくれます。
午後はクラブや委員会などの出展も有ります。 よく見るとうどんを作っていたり手作りの小物を売っている模擬店も出てますねえ。
 ママも朝から盲学校にやってきてさっちゃんがどうしているか見守っているようです。
さっちゃんたち商学部の激は3番目。 10時半くらいかなあ?
幕が上がるのをワクワクしながら心配しながら待っています。 (さっちゃんは大丈夫かなあ?)
 でもでもいざ劇が始まってみると思ったより堂々としているのでびっくり。 と思ったら思いっ切りくしゃみをしたので大爆笑。
(すっかり役になり切ってるわ。 こんな所が有ったのねえ。) 家に居た頃には見なかったさっちゃんを見た気がしました。
 昼になり、さっちゃんを見付けたママはバザーでいくつか買い物をして弁当を買いました。
「お昼にし用か。」 「うん。」
さっちゃんはママと一緒にご飯を食べられるのが嬉しくてあれやこれやといろんな話を聞かせてくれます。
 怒られたこと、褒められたこと、たくさんたくさん遊んだこと、、、。
そこから盲学校生活が始まるのでした。
 文化祭が終わった後、さっちゃんはママと一緒に家に帰ってきました。
「楽しかったねえ。 来年は運動会だってね?」
「そうなんだよ。 走るのは嫌だなあ。」 「何で?」
「どっち向いて走ったらいいか分からないじゃない。」
「先生が教えてくれるって言ってたよ。」 「そうなの?」
「さっちゃんなら大丈夫だって。」 「そうなのかなあ?」
「自分を信じなさい。」 「そうか、、、。」
その夜はお父さんもニコニコしてて久しぶりに遊んでくれたのでした。
良かったね。
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