伝えたい想いは歌声と共に
放課後になって
放課後のチャイムを、私は複雑な気持ちで聞いていた。
これから部室に行って、ユウくんと顔を合わせる。それがこんなにも憂鬱になるなんて、考えもしなかった。
昨夜から、ユウくんを一方的に避けている。
こんなんじゃダメ。そう思っても、すぐ気持ちを切り替えられるもんじゃない。
どうすればいいのかわかんなくなっていると、急に声をかけられる。
「藤崎……おい藤崎!」
「えっ、何?……三島?」
声をかけてきたのは、三島。帰り支度をすませていて、今から教室を出るところみたい。
「何してんだ。部活行かねえのかよ」
「う……うん。今行こうと思ってたとこ」
本当は、行くのをかなり躊躇してたけどね。
「そうか。じゃあ俺、先に行ってるから」
そう言って三島は、教室から出ていく。
私もグズグズしてられない。三島から遅れることしばらく。ようやく教室を出て、軽音部の部室の前までやってくる。
(ユウくんと会って、どんな顔をすればいいのかな? 自然な感じでいられるかな?)
不安になりながら、恐る恐る扉を開ける。
「藍。授業お疲れ様」
「ユ、ユウくん」
一歩足を踏み入れるのと同時に、ユウくんの声が飛んできた。
緊張しているのを悟られないよう挨拶しながら、先に来ているはずの三島を探す。
二人きりより三人の方が、気が紛れるはず。と思ったけど、三島の姿はどこにもなかった。
「あれ、三島は?」
「まだ来てないな」
「えっ? 私より早く教室出たのに?」
とっくに来てると思ってたんだけど、なんで?
けど、三島のことばっかり気にしてはいられない。
今ここには、私とユウくんの二人きり。どうしても、昨夜のことを思い出して緊張してしまう。
「なあ、藍」
「な、なに?」
「今朝から……いや、昨夜から、俺のこと避けてるよな?」
「──っ!」
突然の言葉に、声を失う。
様子が変だってこと、バレてるだろうなとは思ってた。
けど、こんな風に直接聞かれるとは思わなかった。
「ねえ、なんで?」
ユウくんは、けっして怒ってるわけじゃない。むしろ、不安や寂しさでいっぱいになってるように見えた。
ユウくんにしてみればいきなり避けられるようになったんだから、無理もない。
どうしよう。どうしよう。どうしよう!
「ちょっ……ちょっと待って! 私、教室に忘れものしたみたいなの。今から取りに行ってくるね!」
咄嗟にそう言うと、返事も聞かずに部室から飛び出した。早い話が、逃げた。
私だって、これでいいとは思っちゃいない。
それでも、避けてる理由なんてどう話せばいいかわからず、今はとにかく逃げるしかなかった。
だけど、すぐ後ろからユウくんの声がする。
「待って!」
ちらりと振り返ると、ユウくんが追いかけてくるのが見えた。
焦ったその時、ちょうど、近くにあった階段に差しかかる。
そのタイミングがまずかった。
「わっ!」
階段を降りようとしたところで、ズルッと足が滑る。
次の瞬間、大きく視界が揺れ、倒れそうになる。
「藍!」
ユウくんが、血相を変えて駆け寄ってくるのが見えた。
けど幽霊であるユウくんじゃ、私に触ることも、体を支えることもできない。
それでもユウくんは、私に向かって、必死に手を伸ばしていた。
これから部室に行って、ユウくんと顔を合わせる。それがこんなにも憂鬱になるなんて、考えもしなかった。
昨夜から、ユウくんを一方的に避けている。
こんなんじゃダメ。そう思っても、すぐ気持ちを切り替えられるもんじゃない。
どうすればいいのかわかんなくなっていると、急に声をかけられる。
「藤崎……おい藤崎!」
「えっ、何?……三島?」
声をかけてきたのは、三島。帰り支度をすませていて、今から教室を出るところみたい。
「何してんだ。部活行かねえのかよ」
「う……うん。今行こうと思ってたとこ」
本当は、行くのをかなり躊躇してたけどね。
「そうか。じゃあ俺、先に行ってるから」
そう言って三島は、教室から出ていく。
私もグズグズしてられない。三島から遅れることしばらく。ようやく教室を出て、軽音部の部室の前までやってくる。
(ユウくんと会って、どんな顔をすればいいのかな? 自然な感じでいられるかな?)
不安になりながら、恐る恐る扉を開ける。
「藍。授業お疲れ様」
「ユ、ユウくん」
一歩足を踏み入れるのと同時に、ユウくんの声が飛んできた。
緊張しているのを悟られないよう挨拶しながら、先に来ているはずの三島を探す。
二人きりより三人の方が、気が紛れるはず。と思ったけど、三島の姿はどこにもなかった。
「あれ、三島は?」
「まだ来てないな」
「えっ? 私より早く教室出たのに?」
とっくに来てると思ってたんだけど、なんで?
けど、三島のことばっかり気にしてはいられない。
今ここには、私とユウくんの二人きり。どうしても、昨夜のことを思い出して緊張してしまう。
「なあ、藍」
「な、なに?」
「今朝から……いや、昨夜から、俺のこと避けてるよな?」
「──っ!」
突然の言葉に、声を失う。
様子が変だってこと、バレてるだろうなとは思ってた。
けど、こんな風に直接聞かれるとは思わなかった。
「ねえ、なんで?」
ユウくんは、けっして怒ってるわけじゃない。むしろ、不安や寂しさでいっぱいになってるように見えた。
ユウくんにしてみればいきなり避けられるようになったんだから、無理もない。
どうしよう。どうしよう。どうしよう!
「ちょっ……ちょっと待って! 私、教室に忘れものしたみたいなの。今から取りに行ってくるね!」
咄嗟にそう言うと、返事も聞かずに部室から飛び出した。早い話が、逃げた。
私だって、これでいいとは思っちゃいない。
それでも、避けてる理由なんてどう話せばいいかわからず、今はとにかく逃げるしかなかった。
だけど、すぐ後ろからユウくんの声がする。
「待って!」
ちらりと振り返ると、ユウくんが追いかけてくるのが見えた。
焦ったその時、ちょうど、近くにあった階段に差しかかる。
そのタイミングがまずかった。
「わっ!」
階段を降りようとしたところで、ズルッと足が滑る。
次の瞬間、大きく視界が揺れ、倒れそうになる。
「藍!」
ユウくんが、血相を変えて駆け寄ってくるのが見えた。
けど幽霊であるユウくんじゃ、私に触ることも、体を支えることもできない。
それでもユウくんは、私に向かって、必死に手を伸ばしていた。