あの日に置いてきた恋をもう一度あなたと
「でも今の所、この方法がベストだとは思うんですが」

 菜月の声にデイヴィッドは大きく首を横に振った。

「アメリカノシステム、シフトキーデ、ベツメニューヒラク」

 デイヴィッドはそう言うと、菜月のキーボードを操作する振りをしながら画面を指さす。

 その動作に菜月ははっと顔を上げた。

 確かにシフトキーに設定を追加すれば、対応は可能なのかも知れない。


(アメリカ支社のシステム画面を実際に見られれば……)

 菜月はしばし、こめかみに手を当てて考え込んだのち、デイヴィッドに大きくうなずいた。

「少し考えてみます。時間をもらえますか?」

 菜月の声にデイヴィッドはパッと笑顔になると、菜月の両手をぎゅっと握る。

「ヨロシク、オネガイシマス!」

 デイヴィッドは菜月の手を何度もぶんぶんと振ると「バーイ」と部屋を出て行った。


 菜月はデイヴィッドが置いて行った、アメリカ支社のシステム画面のコピーであろう資料をじっと眺める。

 確かにデイヴィッドの説明のやり方の方が、今後他の社員が使用する際にも便利だろう。

(一度システム部に話をして、内容を詰めないとダメだな)

 菜月は、めんどくさそうに部屋を出て行った笠井の顔を思い出す。
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