あの日に置いてきた恋をもう一度あなたと
「え!? な、何もないですよ。ただの同級生! クラスメイト!」

「えぇー、本当かなぁ?」

 宮本がグッと菜月の前に顔を覗き込ませる。

「ほ、本当……です……」

 菜月はたじたじになりながら、小さく首をすくめた。

 菜月の顔をじーっと見つめていた宮本は「ふーん」と、もう一度意味深な声を出すと、目の前の枝豆に手を伸ばす。


「佐々波リーダーってさぁ、仕事もできるし、あーんなにカッコいいのに、もうずっと恋人とかいないんだって」

「え……? そ、そうなんですか……?」

 菜月はドキッとすると、奥の席で笠井に絡まれている凌平の顔をチラッと見る。

 高校の卒業以来、凌平がどんな人生を歩んできたのかなんて菜月にはわからない。

 でも高校時代の凌平を考えれば、近くにいる女性が放っておくわけがないし、今だってアプローチしてくる女性が数多くいることぐらい容易に想像がつく。


「まぁ、私の見立てではさぁ」

 宮本がピンと立てた人差し指を、菜月の鼻先に向ける。

「ずーっと想ってる女性(ひと)が、いるんじゃないかなぁって思うわけ。ねぇ? 綾瀬さん?」

 枝豆の殻をポンと置いた宮本に、突然同意を求められ、菜月はどぎまぎと視線を泳がした。
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