あの日に置いてきた恋をもう一度あなたと
「凌平くんはね、菜月ちゃんに会いたくて、毎回参加してたんだよ」

「え……?」

「菜月ちゃんと連絡取ってる人がいないか、皆に聞いて回ってたみたい」

「そうなの……?」

 菜月は目を丸くさせると、目の前で楽しそうに笑う凌平の横顔を見つめる。


 菜月は高校を卒業して以来、すべての縁を切るように誰とも連絡は取っていなかった。

 その菜月を、凌平がさがしていたというのか。


 『綾瀬は卒業以来、行方もわからなかったのにな……』


 菜月は飲み会の時に、凌平が言っていた言葉を思い出す。

(あんな酷い離れ方をしたのに、凌平は私に会いたいって、思っててくれたんだ……)

 菜月の瞳にうっすらと涙が浮かんだ時、隣の萌絵がそっと青い空を見上げた。


「私ね、一年生の頃から凌平くんのことが好きだったの」

「そ、そうだったの?」

「うん。菜月ちゃんと凌平くんが仲が良いのは知ってたから、二年生で同じクラスになった時、たいして興味のない野球のこと勉強してさ、話しかけたんだ」

 あははと声を上げる萌絵に、菜月は驚いて目を丸くする。
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