あの日に置いてきた恋をもう一度あなたと
「私ね、卒業後も何度か凌平くんに告白したんだ」

「そ、そうなの?」

「うん。でもことごとく失敗。さすがに頭にきたから聞いたことがあったの。凌平くんにとって菜月ちゃんは何なの? って。そうしたら凌平くん、なんて言ったと思う?」

 くすくすと肩を揺らす萌絵に、菜月は目を丸くすると小さく首を横に振る。


「凌平くんね『かけがえのない大切な人』って言ったんだよ」

 萌絵の言葉に、菜月ははっと顔を上げると、滑り台で笑顔を見せる凌平の顔を見つめる。

「凌平が……そんなことを……?」

 萌絵はにっこりとほほ笑むと大きくうなずく。

「それ聞いてね、ずっと凌平くんのことを好きだったことが、なーんか馬鹿らしくなっちゃって。短大出て、就職した先で知り合った人と結婚したんだ」

「そうだったんだ……」

 萌絵はくすりと肩を揺らすと、菜月の手にそっと自分の手を重ねた。


「この前の同窓会の時、菜月ちゃんがいまだに、あの時のことを守ってるって知ってびっくりした。もう、バカ! 私のことなんて踏み台にして、とっとと凌平くんとくっつけば良かったのに……」

 萌絵の声は震えている。
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