陽だまりのエール
「あの……旦那さんって、どんな人? どうしてそう思えたの?」
「どんな? そうねえ……」
思い切ってグイグイ踏み込む私に、長谷沼さんはちょっと面食らったようだけどーー。
「一緒にいて心地いい人だからかな」
わりとすんなり返された答えに、私の胸がドキッと跳ねた。
「心地いい……気楽ってこと?」
「そうそう。……あ、もしかしてバカにしてる?」
さらに追及した私の声が低くなったからか、長谷沼さんはちょっぴり憤慨した顔をした。
「そ、そんな」
「大恋愛のまま結婚するのはドラマティックだけど、毎日毎日相手にドキドキしてたら保たないわよ? そういうのは漫画や小説の世界だからいいんであって、現実は気楽が一番!」
力強く断言する彼女に、私の心は揺さぶられていた。
一緒にいて心地いい。気楽。
私にとってのそういう人って、間違いなくーー。
脳裏に浮かんだのは、たった一人。
無意識に難しい顔をしていたのか、
「……仙崎さん?」
長谷沼さんが、窺いながら覗き込んできた。
「どうしたの、急に考え込んで。私、変なこと言った?」
「え? う、ううん。全然!」
慌てて取り繕う私に、「そう?」と首を傾げる。
「あ。もしかして……仙崎さん、結婚間近の彼氏、いるの?」
好奇心いっぱいに、瞳をくるくる動かして突っ込まれて、私は慌てて首を横に振った。
「あら、そーお?」
信じてくれたのかどうか、長谷沼さんは悪戯っぽく微笑むと、スッと姿勢を正す。
意味もなく、私が胸を撫で下ろしていると。
「間近ってわけじゃなくても考えてるなら、タイミングが難しいかもね」
「え?」
人差し指を唇に当ててうそぶく横顔に、私は短く聞き返した。
「こ、れ。プロジェクト」
長谷沼さんは、胸に抱えたファイルに視線を落として答えを示す。
「仙崎さんも言った通り、ビッグプロジェクトよ。そのメンバーに選出された以上、私たちには通常時以上の責任があると言っていい」
表情も口調も引き締める彼女につられて、私もきゅっと唇を結んだ。
「このプロジェクトを成功に導くまでは、プライベートのイベントはお預け……くらいの覚悟を持った方がいい。私はそういう気持ちで挑む」
「…………」
「だから、子供はもっと後でねって、旦那にも言ってあるの。産休育休で抜けて、穴を開けるわけにいかないしね!」
長谷沼さんは、最後は冗談っぽく笑ったけど、その言葉は私の胸に重く響いた。
『穴を開けるわけにいかない』
それは、私にも言えることだ。
「どんな? そうねえ……」
思い切ってグイグイ踏み込む私に、長谷沼さんはちょっと面食らったようだけどーー。
「一緒にいて心地いい人だからかな」
わりとすんなり返された答えに、私の胸がドキッと跳ねた。
「心地いい……気楽ってこと?」
「そうそう。……あ、もしかしてバカにしてる?」
さらに追及した私の声が低くなったからか、長谷沼さんはちょっぴり憤慨した顔をした。
「そ、そんな」
「大恋愛のまま結婚するのはドラマティックだけど、毎日毎日相手にドキドキしてたら保たないわよ? そういうのは漫画や小説の世界だからいいんであって、現実は気楽が一番!」
力強く断言する彼女に、私の心は揺さぶられていた。
一緒にいて心地いい。気楽。
私にとってのそういう人って、間違いなくーー。
脳裏に浮かんだのは、たった一人。
無意識に難しい顔をしていたのか、
「……仙崎さん?」
長谷沼さんが、窺いながら覗き込んできた。
「どうしたの、急に考え込んで。私、変なこと言った?」
「え? う、ううん。全然!」
慌てて取り繕う私に、「そう?」と首を傾げる。
「あ。もしかして……仙崎さん、結婚間近の彼氏、いるの?」
好奇心いっぱいに、瞳をくるくる動かして突っ込まれて、私は慌てて首を横に振った。
「あら、そーお?」
信じてくれたのかどうか、長谷沼さんは悪戯っぽく微笑むと、スッと姿勢を正す。
意味もなく、私が胸を撫で下ろしていると。
「間近ってわけじゃなくても考えてるなら、タイミングが難しいかもね」
「え?」
人差し指を唇に当ててうそぶく横顔に、私は短く聞き返した。
「こ、れ。プロジェクト」
長谷沼さんは、胸に抱えたファイルに視線を落として答えを示す。
「仙崎さんも言った通り、ビッグプロジェクトよ。そのメンバーに選出された以上、私たちには通常時以上の責任があると言っていい」
表情も口調も引き締める彼女につられて、私もきゅっと唇を結んだ。
「このプロジェクトを成功に導くまでは、プライベートのイベントはお預け……くらいの覚悟を持った方がいい。私はそういう気持ちで挑む」
「…………」
「だから、子供はもっと後でねって、旦那にも言ってあるの。産休育休で抜けて、穴を開けるわけにいかないしね!」
長谷沼さんは、最後は冗談っぽく笑ったけど、その言葉は私の胸に重く響いた。
『穴を開けるわけにいかない』
それは、私にも言えることだ。