陽だまりのエール
「いくらなんでも、ルームシェアは解消だから、それで結婚……とは考えないと思うよ。信じられないなら、紬が自分で陽希に確かめてみるべき」
「…………」
「私は間違いないって思うから、離れ離れになるタイミングでプロポーズってのは、陽希にとっては自然すぎる選択だったって信じる」
そこで一旦言葉を切って、私を真正面から見据えてくる。
私には突然すぎるプロポーズ。
でも、陽希にとっては自然なこと。
気が合うと思っていた彼との間に、そんな大きな齟齬があったなんて、全然知らなかった。
「困惑してる場合じゃないでしょ。プロポーズされた事実がある以上、紬もちゃんと向き合わなきゃ」
心の引っかかりは消せないけど、沙優の指摘はごもっともだ。
「……そうよね」
「そうよ!」
沙優は私を鼓舞するように、バシッと背中を叩いてくる。
「紬も陽希のこと好きだって言う。それが、どういう意味の好きなのか。好意の本質を見極める時ってことね」
「本質……」
「友達、シェアメイト止まりで終わる『好き』か。グッと踏み込んだ絆を繋いで家族になれるか……そういうことよ」
噛み砕いた補足を受け、無意識に私の喉が鳴った。
言われるまでもなく、好意を向ける対象は、とてつもなく広くたくさんある。
私が陽希に向ける『好き』は、どういう種類のものなのかーー。
陽希の渡英まであとひと月もないのに、私はこの短期間で答えを出さなきゃいけない。
とんでもない難題に直面した、そんな気分だった。
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