御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
それから何日も経たないうちに、涼花さんからのメールは、繰り返し届いた。

「元気?」

「少しだけ会えないかな。」

「思い出話がしたいだけなの。」

そんな言葉が、夜の静寂に紛れてスマホの画面を灯す。

そして――今夜も。

ベッドで、律さんに抱かれている最中だった。

心も体もひとつになろうとしていたその瞬間、またスマホが震えた。

「仕事のメール?」

私は少しだけ体を離して訊ねた。

律さんは私の上に体を残したまま、スマホに視線を落とす。

「大丈夫よ。返信して。」

そう言った私に、律さんは唇を重ねた。

いつもより、熱く、深く。

「俺が、大丈夫じゃない。」

その低く甘い声が、私の鼓膜を震わせる。

「千尋を補充しないと、生きていけない。」

囁くように言って、私の首筋へ熱を落とす。

湿った肌に、律さんの熱が混ざっていく。

唇、指先、そして体温。すべてが私だけを求めている。
< 114 / 252 >

この作品をシェア

pagetop