御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
「奥様のお顔を拝見しに来ました。」

……その言葉は、やけに丁寧で、やけに挑発的だった。

「律さんが、選んだ“相手”を、この目で確かめたくて。」

笑っていない瞳が、私を値踏みするように見ていた。

「……そうですか。」

私は、ぎゅっと紙コップを握る。だけど、目は逸らさない。

「率直に言わせて頂いて、よろしいですか?」

「ええ。」

私は背筋を正した。なにを言われるんだろう。

もしかして「大したことないわね」なんて、顔や服装を値踏みされる?

そう思って身構えた瞬間──

「律と別れて頂けませんか?」

頭を下げた涼花さんの言葉に、私は一瞬、耳を疑った。

「……え?」

空気が凍る。

ざわざわしていたロビーの音が、遠くに感じる。

「私達、交際しているわけではなく、結婚してるんですが。」

言葉を選びながら、私はそう返した。

けれど、涼花さんはすぐに言い返す。
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