御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
「……無理、しないでね?」

私がそっと言うと、律さんは微笑んで、私の髪を撫でた。

「千尋がいるから、大丈夫。……でも、もう少しだけ、頑張らせて。」

その言葉に、胸の奥がじんわりと熱くなった。

私はこの人の隣にいて、支えたい。そう思った。

でもそのうち、律さんの帰宅時間はどんどん遅くなっていった。

20時を過ぎ、21時を超え、ついには22時を回る日が当たり前になっていった。

「ねえ、いつまでこの状態が続くの?」

 思わず口にしたその言葉は、責めたかったわけじゃない。

 ただ――寂しかった。

律さんが帰ってくると、軽く夕食を口にしてシャワーを浴び、そのままベッドに倒れこむ。

スキンシップどころか、会話もままならない。

隣にいるのに、どこか遠い人。

あんなに優しかった律さんが、日に日に私の知らない顔になっていく気がして怖かった。

「……ああ、もう少しだから。」
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