御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
そう言ったまま、律さんは静かに寝息を立てた。

その寝顔を見て、私も何も言えなくなった。

――頑張ってるのは、わかってる。

でも、私の中の不安と寂しさは、日に日に膨らんでいくばかりだった。

そして、近づいてきた私の誕生日。

結婚して初めて迎える誕生日だったから、どうしても律さんと一緒にお祝いしたかった。

夕食の時、思い切って声をかけた。

「ねえ、来週の18日。時間、空けてくれる?」

律さんは手元のスマホでスケジュールを確認していたけれど、すぐに小さくうなった。

「うーん……取締役会の直前だから、難しいと思うけど。どうして?」

その一言に、私は思わず固まった。

「……私の、誕生日なの。」

数秒の沈黙のあと、律さんの顔に、バツが悪そうな表情が浮かぶ。

「……マジか。」

思わず胸の奥がズキリと痛んだ。

律さんのその言葉には、間違いなく葛藤があった。

――妻と、仕事。
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