御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
“この人と付き合うかどうか”なんて、あれだけ悩んでいたのに──いきなり「結婚しましょう」だもんね。

「どうかしたんですか?」

「……私、結婚しようって言われた。」

ぽつりと漏れたその一言に、滝くんは画面を見たまま「ああ」と返す。

「彼氏さんにですか。」

──固まった。

「……付き合ってない人に。」

「へえ、男友達ですか?そういうの、たまに聞きますよね。“ずっと友達だったけど、結婚しよう的な”?」

──いや、まだ通じてない。

「……今日、初対面の人に。」

その瞬間、カチャカチャと鳴っていたマウスの音が止まった。

「……え?」

顔を上げた滝くんと、目が合う。

「冗談、止めてくださいよ。」

「それが……冗談じゃないんだって。」

しん、とした空気の中、滝くんはスッと立ち上がった。

「え、それって……結婚詐欺とか、じゃないですよね?」

──うん、普通はそう思うよね。

私は目を逸らしながら小さくため息をついた。
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