御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
「多分、違うと思う……たぶん。」

「“たぶん”じゃダメですよ!朝倉さん、それ相手のフルネームと職業、ちゃんと確認しました!?」

「神楽木律。神楽木ホールディングスの部長……」

「……って、あの神楽木ですか⁉」

滝くんの顔が一気に青ざめたかと思えば、次の瞬間には妙に真剣な表情になって、ぽつりと呟いた。

「……朝倉さん、すごいっすね。」

いやいや、すごくない。全然、すごくなんかない。

むしろ今の私は、人生の分かれ道に立たされてるだけ。

どうするの、これ……。

帰り道、私は滝くんにしっかり説教された。

「大体そういう男って、誠実じゃないんですよ。女たらしとか、プレイボーイとか、だいたい裏がありますって!」

私は歩きながら、ふと神楽木さんの言葉を思い出す。

──“僕は浮気しません。交際相手としかベッドを共にしないので。”

「……それが、“俺は浮気しない”って言ってた。」
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