御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
夕食を終えてホテルの部屋に戻った瞬間、私は戸惑った。

そこにドーンと構えていたのは、広すぎるほどのキングサイズベッド。

「えっ?別々のベッドじゃ……ない。」

声が上ずる。

律さんとは、いまだにタイミングによっては別々のベッドで眠ることもある。

なのに、こんな大きな──一つのベッド。

心臓が高鳴って仕方なかった。

「シャワー、浴びる?千尋。」

「え……う、うん……」

思わずベッドに目を戻してしまっていた。

自分でも、どうしようもないくらい動揺しているのが分かる。

「千尋?」

律さんの声に顔を向けた瞬間、その瞳と視線が絡む。

優しくて、でもどこか熱を帯びたそのまなざし。

一瞬で頬が火照った。

「顔、真っ赤。」

そう言って律さんが、にやりと笑う。

その笑顔が、いたずらっぽくて、でもどこまでも優しくて……私はたまらずうつむいた。

「……先にシャワー浴びてくる。」
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